LASTGASP
City Explore × City of Culture

[L→R] 岡田勇希(Gt.&Vo.) / 成瀬陽介(Dr.&Cho.)

昨年12月に東京・下北沢を舞台に開催された東京屈指のサーキットイベント<下北沢にて’19>。10周年という節目を成功に終え、2020年、新たなステージへ進む。パラディウムでは‘19年の出演者であり、若くて個性にあふれ、新たなるステージへの道を歩むアーティストにインタビューを実施。

今回は、愛知県岡崎発のエモーショナルロックバンド、LASTGASP(ラストガスプ)。岡田勇希(Vo.Gt.)さんの等身大でメッセージ性の強い楽曲が支持を得て、インディーズながら大人気アニメ『弱虫ペダル』の主題歌に抜擢されている。地元・愛知では自主イベント<Last resort>を定期開催。メンバーから岡田勇希さん、成瀬陽介(Dr.Cho.)さんを迎えて、バンドでの活動、ふたりのライフスタイルなど話を聞いた。

音楽を通じた表現で共感できることが
お互いの希望になる

―ライブを楽しい!そう思える瞬間の喜び

岡田勇希(以下、岡田)『最初は「楽しいから」って単純な理由で音楽を始めました。普段は自分自身が誰かに相談したり、気持ちを伝えたりすることが苦手だったんです。だけど、バンドを続けていく中で、そういう気持ちも、音楽としてなら表現して伝えられることに気付いたんです。さらに、そんな風に作った曲に、「勇気をもらった」とか、沢山の共感の言葉をもらえる。それが自分にとって、とても救いになっていることに気付いたんですよね』

岡田『自分の想いが、聴いている人へ届いて、自分にも聴いてくれる人たちから届いてきて、自分自身も生きる希望を貰えることが“きっかけ”になって、バンドを続けていられる“理由”になっているのかなって思います』

成瀬陽介(以下、成瀬)『バンドを本格的に始めたのは高校生の時で、学校生活がスゲーつまらなかったんです(笑)。そんな時に他の高校の友達からバンドに誘われて、ライブハウスに吸い込まれて……。つまらない生活に光を与えてくれたのが音楽、バンドです。“自分と同じ境遇の人って全国各地に無茶苦茶いるんだろうな”って思った時に、そういう人たちの頑張る“キッカケ”になれれば。そう思ったのが音楽を届けたいということへの始まりですね』

表現者としての苦悩と喜び

-乗り越えることができるとしたら“曲を作る”こと
 -自分らしくいることを大切にしたい-

岡田『やっぱりライブで「楽しい!」って思える瞬間や、自分の作る曲や歌詞に気持ちを重ねてもらえた時は嬉しいなと』

成瀬『ライブの後に自分達のファンの人たちに「楽しかったよ!」とか「恰好良かったよ!」とか言ってもらえた時ですね。そう思ってもらうためにやっているので』

岡田『やっぱり、毎回ライブは楽しくやりたいし、お客さんにも“楽しかった”。って思ってもらいたい。だけど、日々、自分自身にも降りかかる辛いことや、嫌なこととかもある中で、「嘘をついてまで笑っていたくないな」。という気持ちをステージに立つ時に、どうやって表現したらいいのかなと悩む時はありますね』

成瀬『岡田が言っているようなことはバンドマンのみならず、表現する人たちみんな、共通してあると思います。だけど、僕は単純に緊張するから、ライブ前に死ぬほど緊張することをやめたいです(笑)』

岡田『乗り越えることができるとしたら、“曲を作る”こと。特に歌詞ですけど、思い悩んでいる時にしか出てこない言葉があると思うので、モヤモヤした気持ちはそういうところに表現として落とし込もうとしてみたりしています』

成瀬『僕は、頭を空っぽにする時間を作る。ライブやレコーディングの日はひとりで散歩しに行ったり、食べたい物食べたりします。プライベートでも同じで、ひとりの時間も作らないとダメなタイプですね』

岡田『ステージに立つ上で大切にしているテーマは「適当ハッピー」でしょうか(笑)。馬鹿みたいなテーマですけど、やっぱりいつも自分自身が一番楽しんでいたいので、ステージ上では考え過ぎないというか、いい加減な所も含めて自分らしくいたいなって思います』

成瀬『僕の場合は「人の背中を叩くドラム」をテーマにドラムを叩いているので、まず「伝われー!」って思いながら歌に乗せて叩きます。“生半可なパワーで人に伝わるわけがない”と思っている暑苦しいタイプなので、とにかくドラムに自分のパワー全部込めています』

10年代を経て迎えた2020年代

―詰まった先にあったチャンスをつかめた 

岡田『2010年代は、良くも悪くも感情が爆発しちゃう瞬間が沢山あったなって。他に10年間だけの出来事っていう訳でもないんですけど“沢山泣いたなぁ”。とは思います。その中でも、ちょうどバンドが色々煮詰まってしまっていたタイミングでアニメ『弱虫ペダル』の主題歌を歌うチャンスがつかめたり、経験したことの無い大きさの会場で、当時は想像もできなかった人たちの前で歌を歌えたりしたことですね』

成瀬『10年代を振り返ってみると色々あり過ぎて、“特にこれだ!”っていうのは思い浮かばないですけど、岡田も言っている通り、やっぱり『弱虫ペダル』の主題歌をやらせてもらったのが一番大きいですかね。想像もできないようなできごとが沢山起こりました。それと、単純に歳食ったなって(笑)。だけど、人の繋がりが無茶苦茶増えました。おかげ様で、刺激のある日々が送れています』

―2020年前夜。やっぱり音楽は楽しいなって

岡田『2019年は、後ろ向きではなく “生き残る”ということを意識していたかなと。去年だけでも沢山の仲間たちが歩みを止めていって、その中で思うこともあって、不安になる時も多かったんですけど、僕たちは、「ちゃんと楽しんで生き残ってやろう」ということだけを考えていました。“辛いことが多かったな”。そういう印象もあったけど、やっぱり“音楽って楽しいな”。と再確認することができた1年でした』

成瀬『自分は意識していた部分は特に無くて、“人の頑張るキッカケになる”とか“背中を叩く”とか、自分の根本にあるテーマを曲げなかったことですかね。だけど、印象に残ったことと言えば、岡田と同じかな。やっぱり少し別れが多かったかな』

辛い時期だったからこそ音楽を楽しむ。自身の軸をブレさせない。いつだって、向き合うことで前に進むことができ、ひとりの人間として、表現者として、気持ちや活動にも好影響を与えることができている。

岡田『『PLAYER』っていうアルバムを、このメンバーで作れたことです。今のメンバーになって、この4人で色んな経験をして、ひとつ、ここまでの集大成というか、みんなが自信を持って「良いじゃん!」って思いながら作ったアルバム。このアルバムをひっさげてツアーができたことは、バンドにとってすごくプラスだったと思います』

成瀬『やっぱり『PLAYER』というフルアルバムを作ったことですね。ライブハウスのツアーとは別に、発売前のプロモーションツアーにインストアイベントツアー。そして、ツアーファイナル、名古屋クアトロでのワンマンライブ。自信作をより多くの人に届けて、聴いてもらうためにバンド史上一番色々と動いたんじゃないかな』

下北沢という街
<下北沢にて‘19>へ出演して

自身も地元愛知で自主イベント<Last resort>を開催(現在不定期開催)するLASTGASP。下北沢の街、そして<下北沢にて>をどのように感じとったのだろうか。

岡田『なんだか東京っぽくないっていう印象でしょうか。多種多様なカルチャーが入り混じっていて、新しさもあるし昔ながらの趣も残っている。都会の高いビルが立ち並んだ景色はちょっと苦手ですが、下北沢のような“小さなお店がぎゅっ”と沢山並んでいる商店街の雰囲気は好きです。<下北沢にて>は初参戦でしたが、お祭り感のある素敵なイベントでした。次はもっと沢山の人の前で歌えるよう頑張ります!』

成瀬『バンドとしては、節目のツアーで下北沢シェルターに出演させていただいたりした、想い入れのある街です。街並みは下町感があって地元のような雰囲気で落ち着く部分もあるけど、やっぱり東京だから最先端なものがあったりする。後は、飲み屋も多いから、住みたいです(笑)。街をあげて楽しもうとしている雰囲気を感じる、いいイベントだなと思いました』

ファッションは目に見える人間性

-ファンがいるからこそ

岡田『“目に見える人間性”かな。ブランドとかはよく知らないですけど、初対面ではかなり印象を左右する大切な要素だと思います。バンドでの決め事は特にないですが、自分はカッチリとし過ぎないように、無意識に近いですけど、普段着ないような“ステージ衣装”になり過ぎないようにしています』

成瀬『ファッションって第一印象ですよね。特に僕らバンドマンは人前に出る人なので、身だしなみは重要です。いつ、どこで、誰に見られているかわからないので、人前に出る時は、髪も格好も自分的に完璧の状態で家を出ます。“ファン”という存在の方たちがいてくれている以上、その人たちには偶然街中で会っても、LASTGASPのドラムだって思ってもらいたいです。どの業界でもきっとそうだけど、不潔な人はカッコよくないですもんね』

DARE-2020年代“敢えて”踏み出すステージ

-これまでも、これからも変わらないという“敢えて”

岡田『大きな夢もありますが、まずはひとつひとつ“ちゃんと楽しむ”ことを大事にしたい。この4人で、ファンのみんなと、今よりもっと楽しめる場所へ。挑戦的な言葉に聞こえないかもしれないけど、敢えて。2020年も変わらない。楽しくやりますよ』

成瀬『保守的な表現かもしれないけど、“信念を曲げない”ことですかね。僕はこれが一番。何かしらの結果に繋がること。僕はそう思っているんです』

岡田『個人的には、インドアなのでもっと色々アクティブになりたいですね。キャンプとかしてみたいですね(笑)。やらずに、食わず嫌いをしていることも多いので、バンドも私生活でも、どんどん飛び込んでいけたらと思います』

成瀬『僕は真逆で、アウトドアタイプですけど、岡田と同じく、やったことのない遊びとか、もっと色々挑戦して、覚えていきたいです! 今回も、せっかくPALLADIUMっていうイケてるスニーカーに出会えたのでファッションも、もっともっと勉強して、さらに自分らしい、バンドマンを目指します』

Photo by MASAYA KOMA
Text by KM(OM)
Special Thanks:下北沢にて'19 / 下北沢 / 近松

PROFILE


愛知・岡崎発のエモーショナルロックバンド。すべての作詞&作曲を手掛ける岡田勇希(Vocal&Guitar)の等身大かつメッセージ性の強い楽曲が支持を受けて、インディーズながら大人気アニメ「弱虫ペダル」の主題歌に大抜擢される。1st.Full Album「the Last resort」をリリースして、初の東名阪ワンマンツアーを開催。その後、愛知県常滑市・りんくうビーチで自らが主催する夏フェスを開催して大成功をおさめる。

OFFICIAL SITE:https://lastgaspinfo1.wixsite.com/lastgasp
TWITTER

岡田勇希 SNS:INSTAGRAM TWITTER
成瀬 陽介 SNS:INSTAGRAM TWITTER

MODEL/PRODUCT


岡田勇希 Selected
PAMPA EARTH

成瀬陽介 Selected
PAMPA PUDDLE LITE+ WPD

INFORMATION


EVENT

TITLE:Kids Return pre.「harunoblue」
DAY:
2020.03.29(SUN)
TIME:OPEN/START 12:00/13:00
PLACE:豊橋 clubKNOT
TICKET:e+

TITLE:Pulse Factory 1st album「ULTRANOVA」
Release TOUR "夜明けを往け"
DAY:
2020.04.01(SAT)
TIME:OPEN/START 17:30/18:00
PLACE:浜松 FORCE
TICKET:e+

RELEASE

TITLE:「PLAYER」
DATE:2019.01.16(WED)
PRICE:¥2,500(tax incl.)
URL:TOWER RECORDS / TSUTAYA / Amazon